いつか晴れた日に-7-



 祐成が去り、美帆子と航太が戻ってきた。そういうことなのだろうか。携帯の画像フォルダに入っている、美帆子に送ってもらった航太の写真を眺めながら、槙はぼんやりと物思いにふけった。槙が祐成に会わないと決めてからすでに季節が一巡しようとしていた。
「航太が中学生になったら、きちんと話すわ」
 美帆子が言ったのは、半村と三人で食事をした日のことだ。
 学生時代には入ったことのなかった、大学近くの寿司屋。今では気後れもなく入っていける自分たちに苦笑して、槙と半村は美帆子を挟んでカウンターの端に坐った。男二人と女一人。トライアングルには微かな緊張感が漂い、それは三人で会うのが久しぶりであるせいばかりではなく、学生時代からそうだったように槙には思えた。その緊張が槙にとっては決して不快なものではなく不思議な昂揚感をもたらすのも、あの頃と同じだった。美帆子の前で半村と張り合うような気持ちになったり、おどける半村を見て美帆子と笑みを交わしたり。あるいは槙が半村と美帆子の二人がかりでからかわれて苦笑するはめになったりした。試合ではなく長く続けることを目的にしたラリーのように、三人の間を言葉と視線が行き交う。漠然とした不安を抱えていたあの頃よりも、大人になった今では穏やかな気持ちでその緊張をさえ楽しむ余裕があり、その分感傷的な淋しさが混じっているのも確かだった。
 帰りは、車で来ていた美帆子が、酒を飲んだ半村と槙を送ってくれた。先に半村を降ろして、槙のアパートへと向かう道で、さりげない様子で「航太に話す」と言い出した美帆子に、槙は少し驚いて「話さなくていい」と止めた。
「航太が高槻さんに懐いているのはわかってる。余計なことを話して航太を混乱させるのは可哀そうだろう」
 高槻ならば美帆子と航太を安心して任せられる。そう判断して槙は身を引いたつもりだった。自分がいなくても航太は十分に幸せそうだった。むしろ自分の存在は航太の幸せを邪魔する気がした。航太に槙を会わせなかった美帆子は、やはり正しかったのだろう。槙はそう考えるようになっていた。自分は離れたところから密かに航太を見守るつもりだった。
 美帆子が槙のために航太に話そうとしているのであればやめてほしかった。「話さないほうがいい」とくり返し止める槙に、美帆子は頭を振った。
「航太にも知る権利があるわ。あの子自身のことだもの」
 美帆子にはっきり言われてしまうと槙にはそれ以上言えなくなった。航太をずっと見てきたのは槙ではなく美帆子だ。
 赤信号で車を停めた美帆子は、不安を隠せない槙の表情を見て、微かな笑みとともに付け加えた。
「でも、そうね。話すか話さないかは、中学生になった時の航太の様子で決める。その時はちゃんと脩司と相談してからにする。だから待っていて」
 槙はその美帆子の笑みをきれいだと素直に感じた。いつのまに美帆子はこんな柔らかな笑みを身につけたのだろう。
 美帆子に祐成のことを訊ねることはできなかった。そして美帆子の口からも祐成の名が出ることはなかった。祐成の婚約者と仲の良い美帆子は二人のことを心配していたから、今頃は二人の関係も修復されていて、かえって槙を気遣って祐成の話題を出さないのかもしれないと槙は考えていた。携帯の航太の笑顔に、似ていると言われた祐成の面影を探す自分を女々しいと思った。

「槙さん、今度の週末は何か予定あります?」
 正午間近に予定外の来客があって一時間遅れの昼休みに、すっかり冷えてしまった出前の定食をかき込んでいた一宮が、ふと思いついたように顔を上げて、槙に訊ねた。のびきって干からびた蕎麦を持て余していた槙は諦めて箸を置き「友人の結婚式なんだ」と答えた。
 半村が、保科の妻の友人との結婚を決めたのは、半年ほど前のことだ。相手の女性とは槙も何度か顔を合わせていたが、屈託のない明るい女の子で、半村とは仲の良い兄妹のような雰囲気があった。二人に結婚を告げられた時、槙も美帆子も心から祝福した。
「結婚式ですか。いいですね。──それ、食べないんですか?」
 槙が脇へ押しやった蕎麦のせいろうを指した一宮に、槙は苦笑して頷いた。もともと出前に麺類は避けるべきだったが、あまり食欲がなかったので形ばかり頼んだものだ。
「カップ麺でよければ、ありますよ」
 食事の途中で身軽に立ち上がり、槙のためにカップラーメンを用意しながら、一宮は呟いた。
「友だちの結婚式じゃそっちに出ないわけにはいきませんよね。残念だな」
「ありがとう。自分でやるよ」
 一宮の手からお湯を注ぐばかりになっているカップラーメンを受け取って、槙は問いかけた。
「週末、何かあった?」
「キャンプの計画があるから、槙さんもどうかなと思ったんです」
「残念だけど、次があれば誘ってくれ」
 軽い気持ちで断った槙に、一宮はやや声をひそめて耳打ちしてきた。
「実は俺、今、ちょっといいなと思ってる子がいるんですよ。その子がキャンプに来るから、槙さんに会ってほしくて」
 同棲していた年上の恋人と別れて以来、一宮は長くそういう相手がいない様子だったから、槙は自分のことのように嬉しく感じた。
「よかったな」
 槙の笑顔に、一宮はかすかに視線をそらして、ためらうように切り出した。
「今だから言うけど、俺ね、ちょっと……自分がホモかもしれないと思ったことがあるんです」
 思いがけない告白に槙が目を丸くして一宮を見ると、彼の頬はわずかに紅潮していた。
「槙さんのこと、ちょっとヤバかった」
 そう告げた一宮の表情はいたずらをたくらむ子供のようだったから、槙はアハハと声を上げて笑ってみせた。槙の反応に一宮は安堵の息をついて、同じように笑い出しながら、言葉を続けた。
「同情って言ったら聞こえが悪いかもしれないけど、槙さんのこと本気で心配で、ずっとそればっかり考えてたら、俺、もしかして槙さんに惚れてんのかもしれないって不安になっちゃって」
「一宮は俺のこと、そこまで心配してくれてたんだ。悪かったな、頼りない先輩で」
「本当に俺、彼女もいないし、このままホモになっちゃったらどうしようって、今度は自分が心配になりましたよ」
 わざとらしく取り澄ました顔で言う一宮に、槙は「バーカ」と笑った。一宮の気持ちは、冗談混じりにでも告白しておかなければならない程度には真剣だったのだろう。槙はそれには気づかぬふりをして笑っていた。一宮は、槙への想いが錯覚だったと気づいたからこそこうして口にできたのに違いない。
 祐成の気持ちも同情だったのかもしれないと槙は考えた。槙を好きだと泣いた祐成。その気持ちは嘘ではなかっただろうが、しかし同性の槙に対する「好き」という感情を、祐成自身もよくわかっていなかったのではないか。槙がことさらに美化した学生時代の想い出にすがっていたように、祐成にとっての槙は多分に幻想に近いものだったのかもしれない。
 それは槙にとってひどく淋しい想像だったが、祐成が一宮と同じように錯覚に気づいて、婚約者と幸せになれるのなら、それでいいと思った。
 祐成を傷つけたいと感じた槙の欲望は、時間に浄化されていくらしく、いつのまにか薄れていた。美帆子に祐成への想いを告白し、そして彼女がそれを受け入れてくれたことが、槙の救いになった。もういいのだと感じた。懺悔を終えて赦されたような気がした。
 しかし会わなければ忘れるというのは嘘で、たった一度重ねた身体に、刻みつけられた想いは消えそうになかった。それでも槙はその刻印を痛みではなく大切な証と感じていた。自分を好きだと言って泣いてくれた祐成が愛しいから、彼に幸せでいてほしい。いつからか槙はそう考えるようになっていた。もう自分が彼に会うことはなくても、祐成には幸せでいてほしい。そして自分はいつか出会う誰かを心から愛したい。



 祝福のスピーチに立った誰もが口を揃えたほど、その日は結婚式にふさわしい快晴だった。やや風の強い日で、空に浮かんだ絵のような雲が瞬く間に形を変えて流されていくのが、庭に面した大きな窓から見えた。教会付きのホテルでの披露宴。会場はオープンテラスになっていて、最後にそこに出てブーケトスが行われ、歓声とともに半村の披露宴は終わった。
「今日は、どうもありがとうございました」
「馬子にも衣装」
 神妙に頭を下げた半村に、汐見はニヤリと人の悪い笑みを返した。
「こら、汐見」
 すかさず保科が叱る。そちらにチラッと視線をやった汐見はすまして付け加えた。
「保科は紳士服の広告みたいだな」
 長身の保科は、姿勢の良さと相俟って、まさに量販店の折り込みチラシに載っていてもおかしくないような雰囲気を醸し出していた。言い得て妙の汐見の台詞に、槙は思わずクスッと声を漏らしてしまった。
「笑うなよ」
 保科が肱で槙の腕を軽く突つく。それを見た美帆子もクスクスと笑っていた。五人が揃うのは大学以来初めてのことだった。内心はどうかわからないが、美帆子と汐見も屈託なく言葉を交わしていた。
「少し時間が空いちゃうんですが、この後ここの三階で二次会を予定してるので」
 言いかけた半村を保科が遮った。
「悪いな。俺たちはそっちは遠慮させてもらうよ」
 二次会には出られないという汐見と保科を、槙たちはホテルのエントランスまで見送りに行った。タクシーに乗り込んだ二人に、美帆子は自然に手を振った。
「槙はあれからどうなんだ?」
 皆の残っている会場へと戻る途中で半村に訊かれ、槙は「うん?」と首を傾げた。
「好きな人がいるって言ってただろ。その人と何か進展あったか」
「進展はないなあ」
 穏やかな口調で返した槙の腕を半村は軽く叩いた。
「嘘だろ? そんな余裕こいてるとこ見るとあやしいぞ」
 美帆子の瞳が笑みを含んで二人を交互に見ていた。
「いや、本当に。もう進展とかそういうのはないと思う。それでも……俺はきっと、ずっとあいつを好きで、その気持ちは変わらない気がする。だから、もういいんだ」
 気負いなく語る槙を、半村はほんの少し気遣わしげな表情で見た。
「何がいいんだよ?」
「あいつが幸せになってくれればそれでいいと思ってる。俺が幸せにしてやるとか、そういうこと考えるのはもうやめたんだ」
 槙は祐成を信じていた。素直で真っ直ぐな祐成。彼ならばきっと幸せになれる。祐成の幸せを信じる時、槙は自分も幸福な気持ちになれた。
 ふと美帆子が足を止め、「先に戻っていて」と言い出した。
「何?」
「ちょっと……お手洗いに行ってくる」
 フロントのほうに足を向けた美帆子の背を見やって、半村は「槙は俺とは逆なんだな」と笑った。
「俺は、彼女を──妻を幸せにしてやるって思ってるよ。回りくどいのはもうやめだ。これからはストレートに行く。俺が彼女を幸せにする」
 半村は彼なりに美帆子への想いに整理をつけて結婚に踏み切ったのだと、改めて知った槙は、力強い宣言に、眩しさを感じて目を細めて半村を見た。
「半村ならできるよ」
 唇の端を引き上げて半村は頷き、真っ直ぐに槙を見つめた。
「だから、槙もがんばれよ」
 槙は黙って笑みを返した。今の槙には半村のようにがんばることなどなかった。祐成に愛してほしいわけじゃない。祐成を愛したいわけでもない。ただ槙は祐成を愛している。それは単なる事実で、意志の入る余地はなかった。いずれ新しい出会いが祐成への想いを過去に変えてくれるのを待つしかない。槙はそう考えていた。あの晴れた日に祐成に出会ったように、いつか誰かに出会うだろう。
 皆の元に戻ると間を置かず新婦の華やいだ声がテラスの外から半村の名を呼んだ。美しく装った友人たちに囲まれて大きく手を振っている。
「一緒に写真撮ってくれるって! 早く来て」
 槙が笑って肩を押すと半村は照れたように俯き加減で彼女たちの元へと走って行った。


「ねえ、庭を散歩しない?」
 やがて遅れて戻ってきた美帆子が槙を誘った。色とりどりの花で溢れた庭園を歩いていくと、小さな噴水の前に出た。小さな手を水の中に差し入れた姉妹らしい女の子たちを母親が慌てて押さえている。キラキラと光を反射する噴水に夢中になっている女の子たちは、おそろいのパステルカラーのワンピースが濡れるのさえ気づいていない様子だった。人工池の周りに置かれたベンチは、カップルや幼い子供を連れた老夫婦などですべて埋まっていた。
「いい天気。航太たちも楽しんでるかな」
 航太は高槻と一緒に泊りがけで海釣りに行っており、大物が釣れたらメールで写真を送ると言っていた。快晴の週末に、そこに居合わせた誰もが明るい顔をしているように見えた。
「もう少し行ってみましょうよ」
 そう言ってさらに庭園の奥に進もうとする美帆子を槙は引き止めた。
「この先には別に何もないんじゃないかな。あまり人もいなそうだし」
「お願い」
 見上げてくる美帆子の表情に逆らい難さを感じて、槙は誘われるまま足を進めた。
 きれいに刈り込まれた低木が、さながら迷路を作るように続く。陽光を受けた肉厚の葉は、強めの風が吹く度に揺れて乱反射し、まぶしく槙の目を射った。生け垣を挟んで時折はじけるような子供の笑い声が響いていたが、その姿は隙間なく植えられた木に隠されていて見えなかった。やがて姿を見ないまま両親に呼ばれた子供たちが遠ざかって行くと、槙たちの他に人の気配はなくなった。
 静かな庭を美帆子は確かな目的を持って歩いているようで本人も気づかないまま次第に足早になった。槙は不思議な気持ちで半歩先を行く美帆子に従った。小道に沿う生け垣を回って──そして、その先に立つ人。ふいに現れた人影に槙は目を疑い、呆然と立ち尽くした。

 黙って頭を下げた祐成を見つめる槙の隣から、美帆子がそっと声をかけた。
「私がここで待っているように言ったの。祐成は、あなたに話したいことがあるって」
 美帆子は槙の腕に手を添えて「お願い、聞いてあげて」と囁き、ホテルのほうに引き返して行った。
 光の中で祐成と向かい合った槙には、現実感が薄かった。こんなところに祐成がいるはずはなかった。
 しばらく見つめ合った後で、ようやく「俺……」と口を開いた祐成は、続ける言葉が見つからない様子だった。
「あの……今日が半村さんの結婚式だっていうのは、美帆ちゃんから聞いてて……終わる頃においでって言われたから、喫茶室で待ってたんだ」
 幼い子供のようなたどたどしさで言うのを聞きながら、槙は一年ぶりに見る祐成を痩せたと感じていた。長めの髪のせいか、頬の線や顎の細さが気になった。こんな顔をしていただろうか。
 祐成は軽く首を振り、咳払いすると姿勢を正して、正面から槙を見つめた。
「紗枝のことはちゃんとしてきたから」
 小さかったが、はっきりとした声だった。
「信じてくれるかわからないけど……でも、信じてほしい。紗枝とのことはちゃんと終わりにしてきた。紗枝は俺がいなくても大丈夫」
「祐成」
 澄んだ目が槙を見つめていた。
「槙さんに言われたこと、あの時はただショックだったけど、でも後になって落ち着いて考えたら、槙さんが正しいって思った。俺はそういう槙さんが好きなんだってわかった」
 自分の言葉に頷いた祐成は「だから絶望した」と小さく笑った。
「もうどうしたってダメなんだって感じたから。紗枝を裏切ったら槙さんに軽蔑されて終わりで。もうどうにもならないと思ってた。──その時に美帆ちゃんが」
 青く光る空の奥、鳴き交わす鳥の声が微かに聞こえていた。
「美帆ちゃんが言ったんだ。紗枝に本気で向き合わなきゃいけないって。義務で結婚するのはやめなさいって」
 槙は静かに息を吸い込んだ。取り返しのつかない美帆子との時間を少しだけ振り返る。
 祐成の前髪を乱した風が、槙の頬をかすめた。
「俺ね、ちゃんと紗枝を好きだったんだよ。ずっと彼女に助けられてた。だから……紗枝を好きだから、彼女に嘘はつきたくなかった。一生嘘をついていく自信もなかった」
 乱れた前髪の間から槙を見つめる瞳は、わずかにうるみ始めていた。
「俺は槙さんを好きで、槙さんが俺を好きだってことを知ってて……絶対忘れられるわけないってわかってた。だから紗枝に俺の気持ちを伝えて、彼女が落ち着くまで、ちゃんと納得してくれるまで、紗枝を支えるのが俺にできる唯一のことだと思った」
 柔らかな風が二人の間を通りぬけ、槙はふいに涙ぐみたいような気持ちになった。槙が祐成の幸せを願っていた間に、槙の知らないところで彼がしていたことを想像して、愛しさと切なさが胸に溢れる。槙の存在が傷つけた恋人たち。彼らの再生に、槙は手を貸すことすらできなかった。それでも今ここで、幸せだと感じてしまう自分がいる。罪のない女性から恋人を奪い去ったことに変わりはないのに。紗枝は大丈夫だと告げた祐成の言葉を、槙は信じた。
「長かった、本当」
 祐成はかすかに笑みを浮かべて、かすれた声で呟いた。
「会わない間に槙さんを誰かにとられたらどうしようって不安だった。あなたが他の誰かを好きになってしまうんじゃないかって。それだけが不安でたまらなかった。──美帆ちゃんが励ましてくれなかったら、俺、きっとダメになってた」
 おどけるような笑みを向けた祐成は、槙と視線が合うと静かに表情を引き締めた。
「あなたが、好きです」
 あまりに真っ直ぐな祐成の瞳に、槙は無心になってそこに映る自分を見ていた。
 いつか誰かを愛したいと思っていた。美帆子や祐成を傷つけた分、次に出会う誰かにはきちんと向き合うつもりでいた。こんなふうに祐成が再び自分の前に立ってくれる日が来ると想像すらできずにいた。
「俺は、これから先の人生を槙さんと一緒に歩いて行きたい。お願いします」
 迷いも衒いもない告白を受けて、槙は自分を映す祐成の目を見つめたまま右手を差し出した。
「よろしく」
 一言で応えて、笑った。信じようと思った。祐成の気持ちを。自分の気持ちを。
 差し出された槙の右手を見て、祐成の顔が泣き出しそうに歪んだ。初めはおずおずと不安そうな様子で手を伸ばしてきた祐成は、指先が触れた瞬間に、逃すのを怖れるようにさっと握りしめた。そのまま手に力を込めて槙の身体を引き寄せる。
「好きだ」
 槙の耳元で再びくり返された声が熱っぽく湿っていた。槙は祐成の背に腕を回しその肩にしがみつくようにして長身を押さえ込んだ。頬をかすめた吐息を追いかけて自分からそこに唇を合わせる。
 槙の腕の中で、祐成の服からは日向の匂いがしていた。



end








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