同級生-1-高校を卒業してから、あっという間に十年が経った。しばらくやっていなかったクラス会をやろうと連絡してきたのは、市役所に勤めている中野だった。中野と俺とは高校時代から特別仲がよかったわけではないが、地元に残っている者同士で幹事をやろうという誘いだった。面倒臭いと思いながらも俺はしぶしぶ承知した。妻子持ちの中野が先立ちになるというのなら、独身でヒマを持て余している俺が断れるわけもない。地元に住んでいるのは俺たちだけではないのだが、中野がわざわざ俺に連絡してきたのは、ようするに一番ヒマだと判断されたのだろう。女子の方は中野と同じ市役所に勤める佐藤と、佐藤と仲のいい山根を頼んで、四人で幹事ということになったが、ただのクラス会だから、日時と店を決めて往復ハガキで連絡を取れば、それで終わりだった。 佐藤が送ってくれたハガキが届くか届かないかの早さで、仲のよかった連中から電話がかかってきた。お決まりのように俺が幹事をやることを茶化してくる奴らと、連絡を取り合ううちに、当日何人かが俺の家に泊まることになった。俺は親兄弟と同居しているが、離れを与えられているから、気兼ねなく朝まで騒ごうという算段らしい。 年明けの土曜日。一時から始まったクラス会は、しばらくぶりだったせいか参加率はかなり高かった。始めだけは中野が形ばかりの司会を務め、担任に挨拶をもらったりしたが、クラス委員だった木村が乾杯の音頭をとると、後はなし崩しだった。高校の二年生、三年生を同じ教室で過ごした仲間だから、思い出話を始めればきりがなくなった。 俺は一応は幹事ということになっていたから、せめて一度くらいは酒を注ぐべきだろうと早目にテーブルを回ることにした。どの席に言っても一様に「小林って変わらない」と感嘆の声を受けて、俺は喜ぶべきか悲しむべきか表情の選択に迷った。老けたと言われないのはマシかもしれないが、十年も経って相応の貫禄がつかないのも情けない話だ。この歳になると同級生と言っても、顔つきも体型もずいぶんバラエティに富んできているし、一瞬見ただけでは思い出せないほど変わった奴さえいる。 テーブルを回っているうちに俺は、女子だけで固められている一角に警戒心もなくうっかり近寄ってしまった。一番手前に座っている女子の名前がとっさに出てこなくて愛想笑いで誤魔化しながらビールを注ぎ、隣の綾子に瓶を差し出した。 「小林!」 ビールを注ごうとした瞬間、左手首をぐっとつかまれ、あやうくこぼしそうになった。 「あっぶねえな」 俺が文句をつけるのに頓着せず綾子は、掲げた俺の左手をシゲシゲと眺め、ニンマリと笑った。 「勝った」 自分の左手を、甲をこちらに向けて俺の目の前につきつける。 「なんだよ?」 「結婚したの、私」 「おめでとう。で、だから?」 「絶対小林より早く幸せになってやるって決めてたの!」 勝ち誇った顔で宣言されて、俺はがっくりと首を落とした。 「いつの話だよ?」 「悪かったわねえ。半分冗談よ。ただクラス会の通知で小林の名前見たら思い出したの。私、昔小林に振られたんだよなあって」 しみじみと呟く綾子に、周りの女たちがクスクス笑った。 「そういえばあの時の綾子、かなり怒ってたもんね」 「そりゃそうよ。嬉しい、小林に勝って」 「あほか」 こいつは昔からあんまり賢い奴ではなかったよな、とこっそり思った。俺は高校三年の初めに少しだけ綾子と付き合った時期があった。 「だけど小林って変わらないね。なんかくやしい」 「ほんとかわいい。年下みたいに思える」 口々に言われて、俺は顔をしかめた。 「バカにしてんのか?」 「誉めてるの。ポイント高いよ、小林。他の奴らなんかすっかりオヤジになっちゃって」 「あとは吉井がかっこよくなったよね」 一人が部屋の中をぐるっと見回してから声を潜めて言うと、別の子がすぐに力強く頷いた。 「思う! もともと美形だけど、高校の頃はちょっと頼りない感じもしたのに、全然雰囲気が違ってびっくりした。入って来たとき「誰?」とか思ってドキドキしちゃった」 女たちの勝手な批評を聞きながら、俺は吉井のほうに目をやった。雰囲気が変わったと言われればそうかもしれない。高校時代の吉井はおとなしい奴だと思われていた。だから俺は、あの時かなり裏切られた気分になったのだ。 「小林、綾子を振ったんだって?」 放課後の教室でその話をした時、その場にいたメンバーを正確には覚えていない。野村と山口、倉橋もいたかもしれない。吉井がいたことだけが確かだった。 「なんでそんな話、知ってるんだ」 付き合っていた同じクラスの綾子に別れ話を切り出したのは前日のことで、いずれ知られることとは言え、自分から吹聴する気はなかった。 「綾子が怒って、女子連中に話しまくってるって」 「あいつはバカだ」 俺は呆れた。 「それよりなんで綾子を振ったんだよ?」 訊かれて俺はにっこり笑った。 「俺? 実は、好きな子ができた」 「げっ。サイテー、小林」 「おまえ刺されるよ」 連中の眉がひそめられ、それぞれが非難の言葉を口にしたので、慌てた。 「違う。今度はかなりマジだよ、俺」 「うっそ。誰よ?」 「五組の中藤加奈子」 中藤は、五組の塚田に誘われて、先週、塚田の彼女を含めて四人で一緒に遊園地に行った相手だった。塚田の彼女が俺のファンなんだそうだ。だからといってデートに俺を誘う塚田の神経はちょっとわからない。ただその時初めて知った中藤加奈子を、俺はかなり気に入ってしまったのだ。 「中藤? 誰それ?」 けげんそうな声の中、野村が中藤を知っていた。 「あ、俺知ってる。可愛いっちゃ可愛いけど、ちょっと地味じゃないか?」 「いや、かなりいいよ、あの子」 どこがどうとうまく言うことはできなかったが、俺は中藤と一緒にいて、安らぐような居心地の好さを感じていた。ちょっとした相槌の打ち方。向けられる柔らかな笑顔。貴重な宝物を発見した気分だった。 「お、小林がそこまで言う?」 「だってマジだもん、俺」 「じゃ、中藤と付き合うんだ?」 そう訊いたのは吉井だったような気がしている。 「んー、これから言ってみるつもりだけど」 「わっ、なんだよ、OKもらったから綾子を振ったんじゃねえの?」 「おいおい、いくら俺だってそこまでサイテーじゃないぞ」 「ぐわー、小林の台詞じゃねえよ、それ」 「うるせえな。だからマジなんだってば」 吉井が中藤加奈子と付き合い始めたという噂が流れたのは、それから一週間も経たないうちだった。そしてそれはデマではなく、二人が一緒にいるところが度々目にされるようになった。しかも吉井から告白したという話だった。 俺はひどいショックを受けたし、あの時一緒にいた仲間たちもさすがに吉井のやり方を「らしくない」と非難し、吉井に抗議しようという話まで出た。 しかし淋しいのは苦手な俺が、たまたま告白してきた後輩と付き合い始めた途端、仲間たちの態度は一変した。 「小林の言葉を信じた俺らがバカだったんだよな」 「吉井は悪くねえよ。中藤だって小林より吉井と付き合って正解」 そんな罵倒を甘んじて受けつつ、それでも俺は新しいガールフレンドよりも中藤を気にしていた。吉井と中藤は似合いのカップルに見えた。校庭の隅で、バス停で、寄り添う二人の姿は絵のようだった。それは俺の場所だったはずなのに。 「こうしてみるとやっぱ中藤っていいよな」 「頭よさそうだよ」 仲間たちがそんなふうに言うので、余計にくやしさが募った。 高校時代のあまり愉快ではない出来事を思い出しながら、遠い吉井の横顔に目をやっていると、 「私、小林に渡すものがあったんだ」 一人の女子がそう言って厚めの封筒を取り出した。「何?」と訊きながら開けようとする脇から「前のクラス会の写真」と言われた。開けて驚く。十年近く前の初めてのクラス会の写真だった。写っているのは大学生の俺じゃないか。 「なんじゃ、こりゃ」 「だって、ずっと渡すの忘れてて。せっかく焼き増ししたのに勿体ないと思ったの。吉井たちの分もあるから渡して」 「やだー、見せて見せて」 「なっつかしー」 写真が女たちの手から手に渡る。 「うそー。小林が吉井とキスしてる!」 手持ち無沙汰になったビールの瓶に直接口をつけた途端、とんでもないことを言われて噴き出しそうになった。 「何それ。見せて見せて」 ぎゃーぎゃー騒ぎ立てる女たちから慌てて写真をひったくった。ドアップの距離でかなりピンぼけしてはいたが、そこに写っているのは、紛れもない俺と吉井のキスシーンだった。 大学二年の夏、初めてのクラス会があった。たった二年ではたいして懐かしさも感じず、たんに飲むための口実のようなものだった。そのクラス会で吉井の近くに座った俺は、いかにもふと思いついたような何気なさを装って中藤の名前を出した。彼女のことを一度は吉井と話したかった。 「中藤さんはどうした?」 「ああ。別れたんだよ」 なんでもないことのように吉井が答え、俺は呆気に取られた。吉井の隣の松崎が大袈裟な声をあげた。 「ええ、もったいない」 「仕方ないよ。あっちに好きな相手ができたんだって。離れてて会えないんだし、同じ大学の奴に告白されたって」 吉井が東京の私大で、中藤が地方の国立大に進学したことは俺も知っていた。 「モテそうだもんな」 初めて俺が彼女の話をした時には地味だと言ったくせに、一度認識されてしまうと、中藤は俺たちの間でかなりの人気を獲得していた。 「吉井は、俺が中藤を好きだったって憶えてる?」 あまりに淡々とした吉井に、酔いに任せてからんでみたくなった。 「俺はマジだったのに、吉井が横から取ったんだからな」 俺が恨みがましく言い募るのを、周りの奴らが呆れて止めた。 「小林、お前はすぐに他の子と付き合ったくせに」 「うるさいっ。俺はほんとーに中藤が好きだった!」 わめいた途端、吉井の手が伸びてきてぐっと顎をつかまれた。そしてそのまま吉井の顔が近づき、唇が触れ合った。間近で女の子たちの歓声が上がり、横顔にカメラのフラッシュが光るのを感じた。 「わああ! なっ何しやがんだっ」 俺はあせって飛びのき、拳で口を拭った。 「悪いと思ったからさ」 しれっとした顔で吉井は嘯く。 「おわびに中藤と間接キスさせてあげようと思って。俺、中藤と別れてから他の奴とキスしてないし」 「バッカ! すっげームカツク。吉井のバカ!」 俺は地団駄を踏み、口汚く罵った。 「あほ小林、それじゃ小学生だよ」 「吉井やるなあ。高校の頃からしたらキャラクター変わっただろ」 ゲラゲラと笑われて、周り全部が吉井の味方の気がした。俺の人徳のなさが露呈したようでやりきれなかった。 古いキスシーンの写真に騒ぎ立てる女たちから逃れて、ようやく自分の席に戻ると、隣から松崎がビールを注いでくれた。 「幹事、ゴクローさん。小林も殊勝になったもんだ」 「まあな。どうせ俺はヒマ人だから」 自嘲して茶碗蒸しの蓋を取ると、中が空だった。 「あっ、誰か俺の食いやがった」 「冷めちゃ不味かろうと思って気を利かせたのよ」 山口がけらけらと笑う。まるっきり高校時代のノリだ。 「信じられねーな。何年も会ってないんだから、少しは遠慮しろ」 俺が悪態をつくそばから、松崎が口を挟む。 「もしかして倉橋の結婚式以来じゃないの?」 「そういえば小林は吉井の二次会に出なかったんだっけ」 野村に言われて、俺は吉井に顔を向けた。 「え? ああそうだ。吉井、おめでとう」 吉井と俺とは結婚式の二次会程度の付き合いだった。披露宴に呼ばれるほど親しくはないが、結婚するという連絡は受ける距離。もっともその報告は吉井本人からではなく、松崎経由でもたらされた情報だった。 「何年前のおめでとうだよ?」 まだ本人に伝えてなかった祝福を俺が口にすると、笑い声が上がった。その中心で吉井は肩をすくめて見せた。 「離婚したんだよ」 静かな声に一瞬皆が固まった。なんでもないことのように吉井は続けた。 「まだ一ヶ月も経っていない」 「何が原因?」 ようやく態勢を立て直したように松崎が訊ねると、吉井は一言「車」と言った。俺たちはすっとんきょうな声でハモってしまった。 「はあ?」 「車を買い換えることになって、彼女はステーションワゴンがいいって言ったんだ。俺はそれにどうしても頷けなかった」 「なんだ、そりゃ」 俺たちが頭を抱えて見せると、吉井は仕方なさそうに笑った。 「きっかけは車だけどさ、譲れないものってあるだろう?」 問いかけるような吉井の視線を向けられて、俺は曖昧に頷いた。すぐに場をとりなすように話題が変えられ、他愛のない思い出話が続いた。 何年ぶりかの再会ではしゃぎすぎたせいか時間の感覚がなくなっていた。店のほうから夜にはその部屋に別の予約が入っているとせかされ、一次会を締めて店を出ると夕闇が間近だった。 二次会には半数近くが参加したが、女たちのほとんどが帰ってしまい、そんなところに妙に年齢を感じさせられた。十年前のクラス会では午前を回っても平気で騒いでいた彼女たちが、今では家庭を気にしてそそくさと帰る。もともとが理系クラスで女子の数は少なかったから、彼女たちが帰ったところでそう人数が減るわけではないが、どうも男だけっていうのは華やかさにかける。お決まりのカラオケボックスに行ったところで野太い男の声ばかりではあまり盛り上がらず、早々にお開きになってしまった。 「吉井、俺らこれから小林の家に行くんだけど、お前もどう?」 松崎が吉井に声をかけると、近くにいた山口が「俺も混ぜて」と言い出し、結局もともと約束していた松崎、倉橋、野村のほかに、山口と吉井が俺の家に来ることになった。カラオケの間に酔いをさましたと主張する山口と、もともとがあまり飲まない性質で運転手を引き受けてくれていた倉橋の車に分乗して俺の家に向かった。 「吉井の奴、本当になんで離婚したのかな?」 倉橋の車の後部座席で、松崎は見えもしない後続の車内を伺い、助手席の背もたれに手をかけ身を乗り出してきた。 「奥さん、可愛かったんだぜ。二次会の時に一度会っただけだけどさ。すげー感じよくって」 「そんなの、人それぞれの事情ってもんがあるんだろうが」 助手席で俺は、フロントガラスを見つめたまま言った。 「なーんか、あいつってわかんねえよな。中藤さんの時だってそうだったよ。あっさりしてるっていうか」 納得のいかない声で続ける松崎に、運転している倉橋も「そうだな」と頷く。 「そういう奴なんだろ」 と俺は言った。多分吉井は何でも簡単に手に入れることができるから、執着することもないんだろう。俺にはその潔さが羨ましいような気もした。 俺の生活している離れは、兄が結婚したら親が移るつもりで建てたから、トイレはもちろん台所も風呂も付いているし、その他に部屋が三つある。期待に背いて兄はいまだ独身だ。兄が結婚したら家を出ると決めている俺も、いまだに親掛かりの生活だった。 「小林って、いい生活してんだな」 缶ビールと貰い物の日本酒で飲み直し始めると、山口が無遠慮に部屋を見回した。 「ちゃんと家賃として毎月五万ずつ入れてるよ」 「えっらーい」 光熱水費はもちろん食費も洗濯も込みなんだけど、それは黙っておく。ついでにピンチの月には勘弁してもらっている。そんなことをばらせば、三十近いくせにいつまで甘えてるんだと叱られそうだ。俺と松崎以外はみんな結婚しているし、野村なんかすでに二人も子供がいるのだ。 「寝るとこも別なのかよ」 山口の言葉に、全員が立ち上がってぞろぞろと寝室を覗きに行く。離れを建ててからこの家に来たことがあるのは倉橋だけなのだ。酔っているせいか、みんな高校生並みで、あちこちを触り出した。ベッド脇の引き出しを漁った山口は、得意そうにコンドームの箱を高く掲げた。 「見っけ、いいもの見っけ」 「わっ、バカ」 慌てて取り上げようとすると山口は箱を放り投げた。それはきれいに弧を描いて松崎の手に収まる。パスされた松崎が笑い声をあげた。 「これ期限切れてんじゃん」 「やっべー、小林。そんなにご無沙汰なの?」 「まさか小林、まだ童貞ってことはないよなあ?」 松崎がからかうように訊いてくるので俺はかっとなって叫んだ。 「なんだよっそれ」 「俺、思い出しちゃった、小林の大学ン時の話」 「ペッティングの彼女!」 ガハハと笑われて俺は赤面した。なんでこいつらにそんなこと話しちまったんだろう。 「吉井、知ってる? 小林は大学の頃、彼女に入れさせてもらえなかったんだよ」 「うるせっ、これ以上そんな話しやがったら今夜泊めないからなっ」 「小林ってさあ、高校の頃はモテたけど、その後がダメだよな」 しみじみ言われて情けなくなった。確かに俺はモテなかった。白状するなら今までにちゃんとセックスした相手はたったの一人だ。職場の三つ年上の先輩。入社当初につき合い始め、俺が結婚を意識し出した頃、別の奴と結婚してしまった。それも結婚紹介システムとやらで知り合った相手と。俺とつき合いながら、そういうシステムに入会していたということは、最初から俺は彼女にとって対象外だったわけで。彼女は結婚しても退職せず今でも同じ会社にいるが、俺と顔を合わせてもまるで屈託を見せない。 居間に戻ってこたつで飲み始めても俺ばかりがネタにされ続け散々だった。十一時近くなって、ふと腕時計に目をやった倉橋が「そろそろ帰る」と口にした。 「なんだよ、泊まるんじゃなかったのか?」 引き止めようとしたら、野村までが「俺もちょっと」と言い出し、結局二人は泊まらずに帰った。 「ちぇ、妻子持ちはこれだから」 残された松崎がぶつぶつと文句を言う。 「山口は大丈夫なのか?」 山口は隣県でアパート暮らしをしていると聞いたばかりだ。 「俺ンとこは、嫁サンも実家に帰ってんだ」 「えっ、別居?」 「バカ、縁起でもねえ。俺が今夜はこっちに泊まるって言ったからだよ」 「そういえば吉井は今は一人暮らし?」 「ああ。職場が都内で、ちょっとこっちからは通えないからな」 「設計事務所だっけ? なんかかっこいいよな」 「なんだ、それ」 苦笑混じりに呟く吉井が、大人っぽく見えた。こいつ、変わったよなとまた思った。高校の頃は、なんでもそつなくこなすわりに、どこか地味な印象だった。何かとバカ騒ぎをしていた俺たちのグループに時々混じっていたが、どちらかと言えばおとなしいタイプで、俺たちがあんまり羽目を外しすぎるような時には距離を置いている感じもあった。もともと俺たちのクラスは全員がそれなりに仲の良いまとまりを見せていたから、特に誰がどのグループということもなかったのだが。 今の吉井は余裕がある感じで、同級生のはずなのに年上に感じる。外見が老けたとかそういうことではないので、負けているみたいで悔しかった。 家にいる安心感からか、外で飲むより酒量が多かったらしく、俺はいつのまにかぐっすり眠り込んでいた。 |
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